1000日のこと

2023年3月13日。本日(時刻上は昨日)から私の住む場所でマスクの着用が任意になるらしい。

 

世の中がおかしくなって、およそ3年が経った。

 

新型コロナウィルス、COVID-19という感染症が世界的に流行をした。このウィルスは飛沫感染力が高いとされ、日々の生活でマスクを付けることが世間的な常識となった。

 

自分の生き方においても当初は無視することのできない影響があった。エンターテイメントと飲食業界が大きな打撃を受けたし、当初は家から出ずに日々を楽しむ、という大喜利に乗っかってみたりした。それによって却って、今にしてみれば心をすり減らしもしていた。

 

長く長く沈んだ時間が続いていたような気がしているが、それは2020年の3月から約半年くらいのことだったな、と色々なものを見返して思う。それが短い、とは決して言わない。自分の人生にそれまでなかったほどの暗い180日があって、これをもって自分の人生が幕を閉じる、ということも現実的に考えていた。

 

ただ幸い、2020年の夏に北海道に行った時。厳密に言えばその前日の、浅い眠りしかできなかった朝方(だったはずだ)に、その時届きたてだった山中さわおの『ロックンロールはいらない』を聴いて、翌日の準備を始めた時に。自分の時計を動かし始めることが出来た。自由を手に生きていくイメージが戻ってきた。

 

そこからの日々の中では、あまり感染症で心の底から沈むことはなかったかもしれない。むしろそんな世界の中で、同じように考えたり生きたりしている人たちがいることを確かめることができた。それは嬉しい、特別なことだったんじゃないかな。

 

ということで、本日からマスクの着用が「任意」になるらしい。ただ本来、この自由は人が決めたものではないはずで、というか、自由というものを他人が決められるものではないはずで。

世の中の人が自由をこれだけ簡単に奪われたり手放したりする景色を見たことも、それでも、その中で何か特別なものを分かち合った人がいたことも、覚えておこうと思うのです。

 

 

3年間が経った。

音楽ライブを53本観て、

旅に16回出て、

靴を3足買い、

新しい仕事を立ち上げ、やめて、また初めて、

同棲を始め、結婚をし、

数えきれない言葉を目の前の人たちと交わした。

 

ただそれだけだったのだ。

とあるぼくらの、健やかな1000日。

 

ではまた。