旅の記録(長崎)

2020.11.21~23 高校時代の仲間Kが赴任している長崎へ2泊3日の旅行。

長崎空港を出ると、周囲を大村湾に囲われた浮島的な立地に驚く。「物語終盤にならないと来れないエリアだなあ」と言うが、生返事しか得られず。

 

日頃の私の旅行が居酒屋・喫茶店・音楽体験に終始するのに対して、今回はガイドKの組んだ旅程のもと大いに観光させられた。空港からKのマイカー(!)で和華蘭*1文化の町、長崎へ。

長崎伝統芸術館に展示されている「くんち」祭の担ぎものにはいたく感動した。市内59の町それぞれに固有の演し物と神輿が継承されているという粋な催し。町々のカラーを投影した船型の神輿たちのイカすこと。そんな中でKの住む万屋町は唯一「くじら」の神輿(というかなかなかにポップな見た目の人形)を使うらしく、これもまたオルタナティブでカッコいいじゃないか。

他にも「精霊流し」では、その年亡くなった人のために造った神輿船を担いで町内を練り歩き、爆竹を鳴らして回ることで弔いを行う。魂を黄泉の国へ送ることを目的としているらしいが、ここまで楽しそうな催しではむしろ現世へ呼ばれてしまうのではないか?自分の葬式を覗き見したいタチの私としては、自分の精霊船なんて気になって仕方ない。

長崎を生きた人々の企画力はどうかしている。

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「くんち」の船たち。
万屋町のくじらの写真は誰も撮っていなかったが、あの助平な目が忘れられない

食事は魚、鯨をはじめ土地の食材ももちろんだが、その上調理の腕が良い。白身魚と刻み野菜・昆布の揚団子でぎゃあぎゃあ騒ぐことになろうとは。締めは地元民の定番らしい「かにや」のおにぎり。筆舌に尽くし難いうまさ。

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右側は定番の「塩さば」、左側はめいめいの好物。
紅生姜を好きでいてよかった、と男泣きするほどうまい。

ほか、私の写真フォルダから。旅行らしい写真は同行者たちに任せるので、自然こういったラインナップになる。

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絵本専門書店「童話館」。『かしこいモリー』収録の短編集と出会い購入。
『すてきなモリー』(毛皮のマリーズ)の元ネタが海外童話とは知らなんだ。

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クネクネしたもの専門会社、株式会社クネットジャパン製の手すり。本当だよ。

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長崎は歴史柄「〇〇日本発祥の地」がたいへん多い。
ほかコーヒー、パフェなど、旅行中に見たものだけでも覚えきれない

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平和公園至近のアパート。無神経が一周回って愛おしい。隣にはラブホテル「シーガル」、常時満室の大繁盛とのこと。何を思いこの地でセックスするのかと同行者らと笑いつつ、この場所で湧く生命に対する切実な気持ちがそうさせるのかもな、と少し気持ちが分かる。

 

東京へ帰った足で、同居(予定)人と不動産の契約へ。WIREDの記事で「オンライン・イベントには『帰宅』がないのが残念だ」と言っていたのを思い出す。確かに行き帰りで起こったことが旅行と紐づいて(いっそう)特別な記憶になることはままある。『三体』は2019年夏の北海道、『正解するマド』は2017年台風の袖ヶ浦への道程で読んだ。

不動産会社を出て、へたり込むように近くの四文屋へ。混ぜホッピー*2を飲み、東京だわね、と息をついた。

*1:和華蘭の読みは「わからん」。『わかる!和華蘭』なんて地域出版社刊行の本もあった。長崎は地元の出版社が元気な印象で、とりわけ『樂』というローカルカルチャー誌の出来がたいへん良い。愛ある仕事を見た。

*2:白ホッピーと黒ホッピーのブレンド。造語だし、そんなメニューはない。しかしうまい