遊びと祈り (小宮果穂さんについて)

ゴールデンウィークが終わる。2021年、25歳、窮屈でおかしな世の中、行楽日和と突き刺すような雨模様が交互に訪れた大型連休。私はアイドルマスターシャイニーカラーズに心血を注ぎ込んでいた。

 

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小宮果穂さんのW.I.N.G(アイドルデビューから新人登竜門の大会を扱う章)の話。あらすじ:戦隊ヒーローに憧れるあまり、当初彼女はいかにもヒーロー然としたスタイル(男喋り、毅然とした態度、必殺技云々)でアイドル活動を行う。しかしプロデューサーに嗜められ自然体に軌道修正をすることに。

 

微笑ましいね、くらいの温度感のくだりだが、憧憬に由来するモノマネというのは一般的に切実な話として(少なくとも、私自身の話として!!)目を引いた。たぶん、私はまだどこかで田淵智也に、山中さわおに、志磨遼平そのものになることを望んでいる。それ以外に善く生きる形が思いつかないと言ってもいい。楽譜すら満足に読めないのに!

 

小宮果穂さんの話に戻す。上述の話から時系列的に後のエピソードでも、彼女はしょっちゅうヒーローごっこに興じている。こっちのエピソード群を私は先行して読んでいた。ので、これらあくまで遊びで、自身が本質的に「ヒーロー」になるための戦いは別にある、という冷静な切り分けが12歳の少女の脳裏で為されている(部分がある※)、ということにはけっこう驚いた。そしてその戦いが見つかっているから、遊びもまた、自分の武器にとびきりのバフと個性を付与する祈りとしてきらめく。

 

※いや仕事でも状況次第ではノリノリでヒーロームーブしとるわな……と思ったので足した

 

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小宮果穂さん、元気っ子キャラでありつつも普通に会話のコード進行がオタクっぽくて良い。泣かせるシーンでもあるけど、夜空を観て自分の人生のスタッフロールを夢想するくだりとか。

 

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放課後クライマックスガールズ、小宮果穂さんを楽しませるという言い訳のもとで年上陣が大遊びできるシステムが羨ましい。大人の青春に必要なのは恥じらいを捨てる言い訳だ(有栖川、お前の話だぞ)。そしてそれを小宮さんが200%で楽しむ永久機関

その意味では小宮さんが放クラを求心しているわけだけど、より切実に求心力を求めているアンティーカにいたら過積載で潰れかねないのでよかったよね……。

 

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シャニマスの休憩がてら現実の世の中に目を向ける。VIVA LA ROCKは良い場所だった。飲食スペースは壁に向かって黙って食うので駿台の自習室みたいだったな。

意味のある対策は経済と心が死なない範囲ですればいいと思う。一方で対策を共通言語として、なんだろう、楽しむというか話の種にするような空気に少し触れて不気味だった(ビバラの話ではないよ)。

私のやることは大して変わらないと思っている。明日からまたこれまでの祈りが祈りとして機能するべく仕事をします。