昼まで眠りこけてしまった。
人生が一変するかと思った特別なライブの翌日も、怠惰な一般人でいる。同居人は「昨日泣きすぎて目が開かないわ」と言いつつ朝早くに家を出て行った。えらいなあと心中で敬礼を送る。私も目は開かないです。
the chef cooks me のラストライブが一昨日、昨日に開催された。
少し経って、大きめの地震でまた目が覚める。同居人をはじめ、何人かの身を案じた。chefのライブの翌日の俺はいつも少し優しいのだ。いやそりゃあいつでも心配はするけど、その感情の肌触りってあるでしょう?
昼になれば、いやあさすがに……と身を起こす。寝ぼけ眼で見ていたiPhoneだが、まあ面倒な連絡はなさそうだ。昨日のライブを観るためにすっぽかした作業もバレていない! しめしめ、バレる前に片すかと布団を出る。
仕事の連絡を数本。
どーでもよい打ち合わせを一本。
少し大切な考え事を二、三本。
一昨日のセットリストを流しながら。『パスカル&エレクトス』のイントロは聴くたびに、聴くほどに全神経が沸き立つ。
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夕方近くになるも、昨日の夜に打ち上げと称して鳥貴族で暴飲暴食をしたのでいまいち腹が減らない。とりあえず、セブンイレブンで買っておいたフリーズドライの酸辣湯スープに小さめの冷凍ご飯を入れてずるずると流し込んだ。
さっき聴いた『僕らの住む町』。ライブの再現としてプレイリストに入れるのなら、最初のコールがない『アワークッキングアワー』版の方が良かったか。いやでも、『HOMESTAR〜』のやつ好きなのだよなあ。ずるずる。
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陽が落ちてきて、駅前のドトールコーヒーへ。ブレンドコーヒー・Mサイズ・300円。その裏にいるたくさんの人たち。一階奥から2番目の、背もたれが歪んで座りにくいソファ。イヤホンからは、何度目かの『Now's the time』
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夜は渋谷に。三日連続でなんて、本当は行きたくない街。打ち合わせという名で酒を飲むなんてchefを聴き始めた学生時代にはよくわからなかった。
2016年5月のマウントレーニアホール。『Song of Sick』で、音楽に涙するということを知った。2018年3月のO-nest。『四季に歌えば』で未来についての呪いが解けた。
chefと渋谷についての思い出。まあ今日は行く店の場所が分かりにくくて、そんな感慨に浸る間もなく雑踏を掻き分けていたのだけどね。
生活は回り転じる。
俺は今日も音楽を聴く。
the chef cooks meも、それ以外も。
「聴かせてよ、"Now's the time"」の一節をステージに向けて叫ぶ瞬間が好きだった。彼らに願うのはただそれだけで、しかしもう伝える機会はない。
でもいいんだ、また勝手に聴くよ!
今日みたいに再生ボタンを俺が押して、ずっとそうしてきたんだ。そうしたら何度も聴かせてくれるんだろう?『Now's the time』
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……ところで。『Now's the time』の歌詞って「We are all alone. We are not the same」って言っているのだね。
ずーーっと後半を「We are all the same」だと思っていた。「私たちは孤独である、という一点において同じなのだ」って話だと思って、涙しながらシンガロングしていたわ。
どっちにしろ良い歌詞だし、まあいいか。いやよくないか。ごめん! でも、これからもまた聴く楽しみができたよ。どうせ一生伴奏してくれるんだ。
ではまた!明日も明後日もその先も。
あなたたちが(そしてあなたの言葉の通りなら、僕たちが!)創って残してくれた音楽があるから、ただそれだけなんだ。嬉しいね、ありがとう。
https://youtu.be/pAqMOKOsB08?si=30Bm6Fv3LnNHi5J4